「行ってらっしゃい。」


家から出るときに、そう声をかけてくれる優しさに触れたのは、約2年ぶりだった。


「行ってきます。」


ううん、ずっと昔のことのような気がする。


あたしの家に、団欒なんてなかった。


だから、あたしは今こうしてアヤと暮らして・・・


「ヒナ、忘れ物。」


「え?」


振り返ると、軽くキスされた。


呆然と立ち尽くす、あたし。


「頑張るんだよ。俺はココにいるから。」


「・・・うん!ありがとう!」


アヤのいる、家に帰ってくることができるから。


あたしは頑張るよ。