「はい、コーヒー。」


「ありがとう・・・。」


温かいコーヒーカップを受け取って口に流し入れると、冷え切った体が温まるのがわかった。


・・・あたしはなぜか見知らぬ人の家にいる。


そしてコーヒーをごちそうになってる。


「落ち着いた?」


そう微笑まれて、ふと我に返った。


落ち着くもなにも、あたしなんでこの人と一緒にいるんだっけ!?


「あ、あの!」


「ん?」


「あたし帰ります。」


席を立ったら、右手を掴まれた。


「待って!どうせ帰ってもひとりなんでしょ。だったら俺のそばにいなよ。」


どうせひとり・・・。


あ、そうだ。


あたし、さっき真琴にふられて・・・。


「最低だよね、新しい彼女連れてくるとか。あんなやつ別れて正解だよ。」


「やめて!真琴のこと悪く言わないで!」


あたしが大声で言うと、その人は目を丸くして申し訳なさそうに笑った。


「ごめん。君の元カレだもんね。」


「いや、ごめんなさい・・・あたしまだわかんなくて・・・」


わかんないよ。


あたしのなにがいけなかったのかな。


なにが真琴を嫌な気持ちにさせてたのかな。


考えても考えてもわかんない。


わかんないよ・・・。