「ねぇーヒナー。」
リビングのちょうど陽が当たるところで、ゴロゴロしてたらアヤが近寄ってきた。
手には洗濯カゴ。まるで専業主夫・・・って、結婚してないし!何考えてるんだよ、あたし!
自分にツッコミを入れると、アヤが頭を優しく叩いた。
「ヒナ。聞いてる?」
「聞いてますよー。何?」
「大学は?」
うぅっ・・・痛いところを突いてくるんだから。
「・・・もう、やめた!アヤと一緒にいたいから。」
「バカなこと言うんじゃないよ、今からでも行きなさ」
お母さんみたいに怒るアヤに抱きついた。
「アヤと、いたいんだ。大学に行ったら、悲しいことしかないもん。真琴だっているし、きっとあの娘だっているし。」
アヤは小さくため息をついて、優しくあたしの頭を撫でた。
「ヒナ。真琴くんには会う運命なんだよ。今は嫌な相手かもしれないけど、ヒナは真琴くんが好きでしょ?それには変わりはないよ。たとえ、どれだけ嫌ってても、好きになれたことは運命なんだから、大切にしなきゃ。」
「アヤ・・・。」
「もちろん、俺とヒナだって運命だよ。ヒナに出逢えたこと感謝してる。」
「うん。」
「だから、明日からはちゃんと大学に行きなよ。それはヒナの大切な経験になるから。」
優しくなだめられて、優しく抱きしめられて。
アヤの言葉が胸に響いた。
あたしはアヤには敵わない。


