「なんか、ヒナっぽい部屋だよねー。俺、好きだよ。」
「そうかな。」
「うん。柔らかくてシンプルな感じがヒナっぽい・・・あ。」
部屋を見回していたアヤが、ふと視線を一点に留めた。
それは、写真立てに飾った真琴との写真・・・。
「あれはね、付き合い始めたその日に撮った写真なの。」
誰もそんなこと聞いてないのに、あたしは話しだした。
「大学入ってからずっと真琴のことが好きで、勇気出して告白したら、俺も好きだよって言ってくれた。そのときのことは、今でも忘れられない・・・。」
「・・・忘れられない、か。」
「え?」
「覚えてる、って言ってたら、きっといつかそれは消えちゃうんだよ。でも、ヒナは忘れられない、ってそう言った。・・・それはずっと消えない。大切な一瞬としてずっと残ってる。俺はそう思うよ。」
「あはは・・・ほんとに、アヤはよく、語るね・・・っ!」
涙が止まらなかった。
アヤの言葉は一言一言、心を突いてくる。
苦しくなるくらいに、あたしの心を掴む。
「ヒナ。」
アヤが優しくあたしを抱きしめた。
・・・まだ、真琴のことが好きなんだ。
その想いは、忘れられないよ。


