ネジが外れてしまったようなお母さんを見ていると、私も最初は焦っていたけど、だんだんと冷静になって言った。





「えぇ、そうよ・・・・・。
ごめんね麻美ちゃん、取り乱しちゃって。
辰也はまたあの病院にいるわ」





急に思考が戻ってきたらしい。
多分、私が言った海原君っていうキーワードだよね・・・・・。
その一言で全神経・思考がそこへ向かう。
よっぽど大切なんだ、なのにそんなに大切な息子が病気だと宣告されて・・・・・。





「私今すぐそこに行きます。
お母さんも行きますよね?」





いきなり本題に入ってしまったが、お母さんは当然のようにうなづいて私を車に乗せてくれた。





車に揺られること30分。
その時間はとても長い、永遠のような時間だった。





病院に到着した瞬間に、私は車が止まっていないにもかかわらず、ドアを開けて飛び出した。
カウンターへ走り、看護師さんがギョッとしているのも気に留めずに早口で言う。




「海原辰也くんはどこにいますか!友達です、桜井麻美です。
早く教えてください、大丈夫なんですよね!?」




すると、もんのすんごい不審な目を向けられたが、後ろから走ってくる海原君のお母さんを見てしぶしぶながらも教えてくれた。




「・・・・・辰也くんは少しづつ悪くなってっていますね。
今はまだ大丈夫でしょうが、一週間後はもう学校に通えなくなるでしょう。
・・・・・それと、まだ本人には言ってません。
あなたたちは、この事実を受け止められますか?」