「ウィリス・・・動脈輪閉、寒症・・・?
一生、治らない病気・・・?」





ショックすぎて言葉が出ず、おうむ返しにつぶやいた私にお母さんは言った。




「えぇ。
八歳ぐらいの頃かしら、急に頭が痛いって言い出して、頭痛薬を飲ませても一向に収まる気配は無くてね。
心配になって病院に連れてったらそう申告されたの。
その時は放心して返す言葉も無かったわ。
それから、友達付き合いが悪くなったから引っ越してまたここに帰ってきたんだけど、もうその時には友達を作れないようになちゃってて、今に至るって感じ。
・・・私がしっかりしてたら、あんなにならなかったかも知れないのにね」





そう言って、自嘲気味に笑う。





「そんなことはないです!私がノックした時、母さんって、優しく言ってましたもん・・・。
そんな悲しいこと、言わないでください・・・!」




母さんって言った時、心を許してるように、いたわるように・・・。
大事そうに言ってたんだよ・・・?





「今日は・・・、突然押しかけてすみませんでした。
海原君に伝言頼んでもいいですか?」




私の質問にお母さんはこっくりと涙の溜まった顔で頷いた。
そのことを確認して言う。




「退院したら・・・。
今週の金曜日に体育館裏に来てって、お願いします」