「麻美、この人たちは知り合いか?どうしてこんな家族の写真が多いんだ?」
「あぁ、私部長さんから『喜び』を題材にした写真を撮ってこいって言われたんだけどまだ撮れてなくて。
だから一緒に居る笑顔が溢れる家族はどうかなって思ったんだ」
うそ。
うそだよ。
本当は海原君に見せようと思って、海原君のことを考えながら撮ったんだよ。
海原君がこんな風に笑ってくれたらって思いながら。
そんな私の心情を知ることもないであろう海原君は軽く頷いてからまたカメラに没頭し始める。
と思ったら何かを思い出したかのように、あ、と声をあげ私と目を合わせる。
「・・・・・麻美さっき何か言おうとしてなかったか?」
気が付いてないのかと思ったのに。
さっきは決心をしていたからまだ大丈夫だったけどいきなり目を合わせられてバカ正直な私の心臓はドキドキを通り越してバクバクし始める。
大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせながら震える唇を意志の力で上下に開く。
「・・・・・う、海原君に言いたいことがあるの。
言ってもいい?」
