その言葉で私は怒りを解き、童君と向き合う。
童君も私の目を見つめる。




「私は気にしてないから。
だから童君も気にしないでね、避けられたりすると悲しくなるからさ」




じゃね、と言ってから私は机の上に置いておいたカバンを手に取り教室から飛び出す。
もう学校から出て校庭に居る。
ここまでくれば童君も来ないだろうと思いゆっくり減速をする。




『桜井麻美さーん、聞こえてますかー?』




歩いていた足が止まり、校舎の方を振り返る。
童君が放送室で全校放送しているんだ。
瞬時に悟り、何を言うつもりかしっかり聞くために私は目をつぶった。




『全校の皆さんも聞いてください。
俺は光月童と言います。
俺はクラスメイトである麻美を深く傷つけてしまいました。
普通なら怒っても安いのに、麻美は怒らず友達でいてくれ、もう謝るなと言ってくれました。
だから俺はこれを最後の謝罪にしたいと思います。
・・・・・麻美、ごめん。
何回謝っても足りないな、これが俺の精一杯。
許してくれてありがとう、ごめんな』




そう締めくくり切れた放送。
ここまでしなくてもよかったのに・・・・・。