みんなその三秒の間に座ろうと自分の席めがけて走っていく。
私は近いから座れたけど、座れなかった男の子が二人。
「アウトー!じゃあペナルティでーす、放課後トイレ掃除なー」
えーっと不満の声を漏らすけど先生は取り合わない。
そのまま授業を始める。
「ごめんな、あんなことして・・・・・」
授業が始まり十分ほど無言だった童君が消えいるかのような声で言った。
もう気にしないようにしてたし、童君の気持ちに気づけなかった私も悪いと思うから。
だけどずっと俯いている童君を見ていると何も言わずにはいられない。
「童君が悪いんじゃないから気にしないで」
私はノートを取る振りをしながら童君に言う。
聞こえるかどうかの大きさだったから不安だったけど聞こえたらしく、コクリと軽く頷いたのを見てまた先生の話に集中する。
「よし、取り敢えず数学はここで終わり。
大谷が言いたいことがあるらしい。
じゃーいいぞー」
三十分ほどたち、急に先生がそんなことを言う。
私は驚いて碧海を見た。
碧海も私の方を見て大丈夫と言うようにウインクしてから教壇へ歩いていく。
「簡潔に言います。
海原のこと知ってますよね。
海原は今、一生懸命巨大な敵と闘っています。
それは人間ではどうすることもできない自然現象です」
