私はこの人に光が浮かぶのを見てみたいと、純粋に思った。
この絶望の底無し沼から、救ってあげたいと。
「はじめまして。
私の名前は桜井麻美です。
これからよろしくね、海原君」
名前を言った途端、海原君は驚いたように、こっちを向いた。
しかしその初めての人間らしい表情は一瞬で消え、すぐに窓の方を向いてしまった。
「桜井ー。
放課後学校案内してやれー、頼んだぞー」
「はーい」
「SHRおわりー。次数学な」
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それから、数学、国語、美術、体育と続きやっと、お昼ご飯の時間になった。
「麻美〜、一緒にご飯食べよ」
碧海がニヤニヤしながらこっちに来た。
・・・なんか、いやーな予感しかしないんですけど。
「うん、わかった。
じゃあ中庭で食べよ」
と、引きつった笑みを浮かべながら言った。