よく言えるなと思いながら答える。

「こんな暗くて、狭くて、怖いところやだぁ」
「ちゃんと答えてくれたんですね。嬉しいです。私のお部屋ならいいですよ。前に嫌って言ってましたけど、どうしますか?」

私は、最初は、薫子の部屋に軟禁されていた。
その頃は、私といない時は敷地内から出ないでくださいね。と言われただけだった。
 薫子の家の敷地はとても広く、正直でるなと言われなくても出る気はしない。
なんでも出来たし、外に出る以外のワガママはどんなことでも許されていた。
今考えると、その頃は幸せだった。
薫子ももう少しまともだった。
それなのに、それなのに私は薫子のことを無視して、話もしなかった。
たぶん、それが、薫子を狂わせたんだと思う。
 私を監禁すれば私が見てくれると思ったんだと思う。

「うん、そうする。ありがとう」

そう言うと、薫子は、すごく嬉しそ
うに話した。

「いいんですよ、お礼なんて。私は、雪ちゃんの恋人ですから、雪ちゃんが、ちゃんと素直にしてさえいてくれれば、なんでもワガママ聞いてあげますよ。手錠や足枷もとって
あげますね」

本当に、とってくれた。

「うん、ありがとう」
「これからは敷地内から出ること以外は好きにしていいですよ」
「うん」

どうしたんだろう。
今までは、全くと言っていいほど、話しをしなかった。
だけど、たった一言話しただけで、こんなに変わるものなのかな。