そして月曜日。
お兄ちゃんは部活の朝練に行っていない。わたしは深呼吸を深くして家を出た。



「あ、」
「おはよう!大井さん。」
ニコッと微笑んだ…前田くん。
な、なぜに!?


「ま、前田くん。おはよう!」
「うん。」

わたしたちは並んで歩く。ここの道は人通りが少なくわたしはなにかを離さないと静かすぎる道で考えた。


「あ、あのう前田くん。前田くんってさ家この近く?」

「うん。」

あれ?昨日は別のところ言ってなかった?


「ってのは嘘。おれは大井さんに会いにきた。」

へ…私に友達がいないから?
あぁ神様ありがとう。
今日一日これだけで満足!
優しい優しい友達が出来て嬉しい。


「でも…遠かったでしょ?」

「平気平気。」

「ありがとう…」

前田くんはいきなりぷいっと向こうを向いた。


あ、いまわたしなにか言った、かな?

夢子がオロオロしていると前田が夢子に向かい、ご、ごめん!
と謝った。


「俺さ、昨日のこと考えたらいてもたってもいられなくて…」

「へ?昨日?え、わたし変なこと、いったかな?」

前田くんはオロオロして罰が悪そうに言った。

「いやさ、隣にいたかっこいい男さ、誰か知りたくてさ。」


あぁお兄ちゃんか。
「彼はねわたしたちと同じ高校の三年生でね…」

「もしかして、もしかしてだけど」
私の言葉を遮るようにもごもご言う前田くん。

今日の前田くんはなにかちがうなぁ


「いや!違うなら否定してね。




もしかしてもしかして」


「うん。なんでも言って」


前田くんは立ち止まり私の目を見つめる。



ドキン胸が高鳴る。
へ?なにこれ?


「もしかしてそのひとか、か、彼氏?」


「へ⁉︎だ、誰の⁉︎」


「大井さんの…」


顔が真っ赤になる二人。

「ち、違うよ!だってここに引っ越してきたばかりで、まだ友達もいないのに彼氏なんて…ないないない!」


「じゃあだれ?」


前田がむすっとしていう


「彼はねわたしのお兄ちゃん」


その瞬間前田くんはいきなり え〜!と叫びだして止まった。ビックリした。


「なんだよ。俺ださいな。勝手に飛躍して考えて登校中に呼び止めて。ごめん!本当ごめん。」


「いえ、わたしとお兄ちゃんは周りから仲が良くて昔から間違われるので慣れてるよ」


「うっ!なんか複雑!」


「へ?あ!お兄ちゃん次に前田くんがよかったら紹介するよ。お兄ちゃんはね前田くんと同じ部活なんだよ」

「うん、よろしく。」

前田くんはため息をついた。
「疲れてる?やっぱりわたしなんかと一緒にいるの疲れるよね。」

わたしたちが再びあるだしてわたしは言った。

「疲れない!疲れるなんかない!」
前田くんは叫んだ



わたしは幸せ者だ。こんな気にしてもらえて。




ここに引っ越してきてよかったなぁ。



「大井さん。」

「ん?」


「いや…べつになんでもない。」


「う、うん。」






そんな朝のことでした。