ガラガラ。

病室のドアがあき、夢子と夢子の兄がかれらの母の病室にはいる。


「お母さん。久しぶり。」
わたしは花瓶の手入れをして花をとりかえようと動く。


お母さんには何本も管が通り、見るだけで痛々しい…


「お母さん…」
「夢子…おいで」
私が泣きそうな様子をお兄ちゃんは察知して私を近くにおいて頭をぽんぽんした。


「…はやく元気になってね」

「私ね入学したんだ今週。それでね沢山聞いてほしいことがあるんだ。聞いてくれる?」


母からは機械音の息のシュコーシュコーとしか聞こえない。


「俺もさ転校してきてさ沢山聞いてほしいことがあるんだ。」


「「だから、目を覚まして」」

わたしたちは下をうつむいた。

だめだなわたしたちはまだ弱い。


とっても弱い。


お父さんがいつもいたからまだましだったがわたしたちで来ると、こんなに暗くなる。





「俺、大井智也は最近友達ができたよ。そのこたちとね昨日カラオケにいってねその中のひとりがすげー音痴なの…でね」



お兄ちゃんは喋り出す。
わたしも泣いてはいられずお兄ちゃんが話した後に何を話そうかを考えた。






あぁ神様誓うよ。
わたしはお母さんを助ける。



お母さんと会いたい。




誓うよ。夢を果たすことを。





「お母さん。誓うよ。わたし必ずお母さんを助ける。」





病室に私がボソボソと囁いた声はお兄ちゃんに気づかれず終わった。






お母さん。
目を覚まして。