今すぐ逃げ出したい気持ちを必死で抑えて、藤井の家に着くのを待つ。 「到着いたしました」 車がゆっくりと止まり、運転手さんが声をかけてくれる。 あたしは車の窓に顔を近づけてギョッとする。 「デカッ!!」 「お前、何気口悪いな」 今は藤井の嫌味なんて頭に入ってこない。 だって、だって! 「お城だ!」