翔はそんなあたしに気づいてるのかな?
だから、こんなに優しい言葉をかけてくれるのかな?
ダメだ、気を遣わせちゃいけない。
あたしはパッと翔から離れる。
「コーヒー淹れてくるね」
机の上に置いてあるマグカップを取ろうと手を伸ばしたら、その手を掴まれた。
そのまま引っ張られ、翔の腕の中におさまる。
突然のことに戸惑っていると、翔があたしの頭を優しく撫でてくれる。
「心配すんなって言っただろ?
俺は一生杏を手放す気はないから」
あたしの不安に気づいてくれてたんだ。
「……うん」
そう言ってくれてるんだから、あたしは翔を信じる。