「翔」



「どうした?最近すげぇ甘えてくるな」




翔の部屋で仕事の手伝いをしている翔に抱きつく。


学校では翔とゆっくり一緒にいられないから。




家だけがゆっくり、誰にも邪魔されずに過ごせる唯一の時間だった。





あたしの不安はどんどん募っていくばかり。



今こうして翔に抱きついているのに、遠い存在に感じてしまうんだ。






「こんなあたし、嫌い?」



「俺はどんな杏でも好きだよ」




自分でも信じられないくらい甘えるようになった。


それもこれも、松永さんの存在があるから。





いつか離れてしまう気がして、怖くて怖くて仕方ない。