“ALICE"









「言っとくけどね、亜希ちゃん。これは夢じゃなく現実(リアル)だから」





注意してね。とグレイは残りのスープを飲み干す。





夢…、じゃない…
現実(リアル)…




…それじゃ、私がいた世界には、もう戻れないの?




お母さんやお父さん、友達にもう会えないの?




「亜希ちゃん、スープが温くなってるから早く食べてね。その後、少しだけ外の空気を吸っておいで。そしたら少しは心が落ち着くかもよ」




「…はい」



私は温くなったスープに手をつける。



これからどうしたらいいの?
自分がいた世界に帰る方法なんて、当然知ってるわけがない。




…かと言って、いつまでもグレイの家にお世話になるわけにもいかないだろうし…




私はグレイの言った通りに、スープを飲み干した後、外に出てその辺りを散歩する。