……寒ぅ。


雪降ってきた…


「夕香ーっ!

おまっ…置いてくなよ…。

仮にも俺の彼女だろー?!」


『あ、薫おはよ。』


「あ、うん。おはよ。

っておまえ、また寝てないだろ?」


……ばれた。


「むすっとしてもだめ!かわいいけど!!

かわいくても俺は騙されないぞ!!

体弱くなって風邪引くぞ!」


『…寒いから早く中入ろ。』


「思いっきり話逸らしたな。」





「あ、夕香、ちょっとストップ。」


『……?』


昇降口の直前。
斜め後ろを歩く薫に呼び止められた。


振り向くと、目の前に薫がいてびっくりした。


身長差は5cmくらいだから、わずかに見上げる形になる。


すると急に薫の右手が頭に伸びてきた。


つい身がまえる。


ーーぽん。


「雪。

頭の上に積もってたよ」


にっと笑った薫の笑顔と曇った眼鏡に、



きゅんと、した。