今日は早めに学校に行こう。


俺はいつもより早く学校に着いた。


職員室に着くと隣の安藤先生が既にパソコンとにらめっこ状態。

本名安藤潤一先生。
俺の大学の2個上の先輩で、物理担当。

何気に仲良くしてくれている先生の一人だ。


「お、何。杉浦今日早くね?」

「あ、おはようございます。
まぁ……目覚めて……。」

「ほぉ……。
俺なんか寝不足だよ。
授業の準備で忙しいのに、家に彼女来るし……
放っておいたらキレて……めんどくせーの。」

「お、お疲れ様です……」

「お前は?
彼女いないのか?」

「あー、いないっすね。」

「その顔でいないとかもったいないな。
気になる子は?」

気になる子……。

「…………まぁ。
本当の顔を中々見せてくれないやつ……は……いますけど。」

「気になってんだ?」

「……まぁ。本当の顔は見てみたいですね。」

朝からどんな話してんだよ。


「それ、好きだろ。」

「へ?」

「気になってんだろ?
何、同い年?」

「あ、いや……」

「え?年上?お前すごいな。」

「あ……いや。」

「え……まさか……年下?」

「いやぁ、まぁ、その……同い年?」

「なんだよ。ビビらせんなよ。どんな子?」

……まさか年下の生徒なんて言えるわけねーよな。

「え……。家庭的で……賢い人……っすかね。」

「スタイルは?」

「安藤先生……食いつきですよ。」

「気になるんだよね!教えろ!」

「スタイルは……いいと思いますよ?」

「どんな見た目?特徴全部言えよ!」

……。
恋バナつーやつか?


「細くて、背は……165cmくらい?
目がデカくて、髪は黒のセミロング……とか?」

「おぉ、なかなかいいな。
つか、そんな美女的要素持った女なんかいるのか?
俺はそんなやつ一人しか知らないな。」

一人知ってるのか。


「これがいるんですよ。」

「へえー。
俺が今まで会った中でダントツなのはあれだな。去年のプリンセス。」

え??!

「あ、朝日?」

「そうそう!去年杉浦はプリンスだったろ?横に並んで絵になる2人だったよな。」

……。
その朝日のことを話してるなんて……
言えねーよな。


「まぁ、俺はもうちょい……こう……ナイスバディな人がタイプだけど。」

「……そーっすか。」

「あいつは、頭良かったよな確か。」

「ですね。」

「あ、杉浦のクラスか。」

「委員長やってますよ。」

「俺の彼女もあれくらい大人ならいいんだけどな。」

……そうなんだよ。
あいつは、妙に大人なんだよ。


「あ、やべっ、まだプリント作ってないんだった。杉浦も仕事しろよ!」

「あ、はい。」

……。
話伸ばしたの先輩じゃねーか。


『それ、好きだろ。』

ドクン))

妙に安藤先生の言葉が胸に刺さる。


好き?
んなわけねぇだろ。

生徒だぞ?

……。

ホントにそんなわけねぇのか?


俺は……


あいつが?