「ごめん筑紫ちゃん!!!おくれちゃった・・・」
すこし小走りできたのか息が切れている。
「だ、だいじょうぶですよ!まだ全然時間あるでしょう?
知り合いのバンドさんが演奏するの…」
本音を隠して笑顔で対応する。なれたものだ。
「ま、まあそうなんだけどね!!」
「そういえば今日ライブいくのは二人ですよね?確か」
「そう!それなんだけど!!!」
「?」
息を整え先輩があそこ!と指をさしたのは
こちらを見ている4人組の男の人たち。
ひとりはものすごく背が高く、
ひとりは携帯をいじりながらもこちらをちらちら見ている同じ身長ぐらいの子、
ひとりは自転車にのってけだるそうにあさっての方向を見つめる人
そして最後の人は、前髪がめまでかかっていてよくわからない、でも優しそうな顔立ちのひと
でも4人とも共通することは、
ただただ怖いということ。
「えっ・・」
「私と一緒にバンド組んでるやつ!
あ。でもあそこの自転車押してるのは違うけどね!よし!いくよ!」
何も言う間もなく腕を引っ張られこちらを見ている中に近づいてゆく。
「こちら、私の高校の後輩の筑紫ちゃん!仲良くしてあげてね!」
いっぽ前に立たされ紹介される私。
恥ずかしくてとてもやっていられない。
「つ、筑紫です。よろしくおねがいします、」
ところどころからよろしくーという声が聞こえる。
そしてすぐに先輩の声が、
「あはは!だいじょうぶだよー!このでっかいのと自転車に乗っている奴以外は筑紫ちゃんと同い年だから!」
いやいやそういうことじゃなくて。
「ま、とりあえず、ライブハウスむかおっか!」
そういって先輩は前を向いて進みだした。
そしてただただ、私は先輩に後ろについていくしかなかった。

