最愛 ーサイアイー




「残念ながら……助けることはできませんでした。」



俺は携帯を取り出し、時計をみた。



ーーあれから、思ったよりまだ時間は経っていない。




「あの…」


俺は震える声で医者に尋ねる。



「まだ連絡をもらってから時間は経ってないんすけど……

手術ってそんなに早く終わるもんなんですか?」



実際1時間くらいしか経っていなかった。



「……城崎さんの場合、ほとんど即死状態だったと思います。


救急隊員からの報告でも、救急車に運び込まれた時点で息はなかった、と聞いています。」




……なんだよ、それ。



あいつは美幸の命の代わりに、本当に自分の命を使ったってのかよ。



「救急隊員では死亡判定はできないため、私共の手で、検査をさせていただきました。

その結果……城崎さんは失血死と断定しました。」