最愛 ーサイアイー




コツコツーー



そんな足音が聞こえたのは、それから何時間後のことだろうか。



瑠衣の両親も現れ、母親の方は泣き崩れているみたいだ。



俺は何もできず、ただ祈るだけだった。




「城崎さんのご両親ですか?」



その声に反応を先に見せたのは、父親の方だった。



「はい…」


疲れている声に、俺は同情せずにはいられなかった。



声の主は医者だった。


薄緑色の手術着は着ていなかったが、今さっきまで手術していたに違いない。




「瑠衣は…どうなったんですか?」



一瞬の沈黙が訪れた。



俺も橋本も、瑠衣の両親2人もーー


全員が黙り、空気が張り詰める。