今日も無事仕事が終わり、駅まで歩いていると見覚えのある車が通り過ぎた。


「…あっ！！」


その車には車の持ち主が運転しており、目で追いかけているとテールランプが赤く染まり車が車道の脇で停止した。


その車が止まった瞬間、スラッとしている綺麗な女性が微笑みながら近付いて行くのが見え、必死でその車を見つめる。


女性が車に近付くと運転席から私の愛しの人が微笑みながら出てきて彼女を助手席にエスコートする様車に乗せた。


やっぱ、居るよね。彼女…



ずっとその光景を見ていた私はヒリヒリと心が痛み視線を下に向け

足を動かそうとしたが、もう１回車の方を見てみると立ち止まってこっちを見てる彼と目が合った。


えっ？ヤバッ！！

見つかった？


なんて思ってたけど彼はすぐさま澄ました顔で私から視線を逸らし

運転席へと足を進めて軽やかに車に乗るとそのまま発進してしまった。



私は浮気相手だったんだよね…

こんな街中で会った事なんてない、待ち合わせすらした事無い。

会う時はいつも彼の家だったから。


今、この光景を見て複雑だけど良かったのかも。

好きな人には彼女が居たんだ。もう諦めるしか無い。