大人の臆病【短編】

そんな俺の愛おしい雅が急に難しそうな顔をし

「ねぇ、この前の女の人は?」

と不機嫌そうに聞いてきた。


はぁ?この前の女??


「この前の女って?誰だ??」


「車に乗せてた…」


車に乗せてた…もしかして……

「あ~、…あれ俺の姉貴!!」


そう言えば、雅に恥ずかしい所見られたんだった。


俺がそう言ってもどこか不意に落ちないかの様に

「でもさ、克己と目合ったのにどうして逸らしたの?酷いよ。」


ちょっと拗ねた様に言う雅にカッコ悪いけど


「恥ずかしかったんだよ。こんな年になって姉貴と一緒に居る所見られたんだから。」


正直に話した。あぁ~恥ずかしい…


俺が恥ずかしながら言った言葉に対し雅は

「信じられない。彼女と勘違いしたんだから。綺麗だったし克己とお似合いなんだもん。」


彼女と勘違いしてたのか!!

ははは…そうゆう事だったのか!!


「雅が何も聞いてこないから悪いんじゃん。俺の事避けてさ。雅の方がひで~よ。」


言い返してやった。俺はお前しか見てね~んだよ!!