大人の臆病【短編】

「…はい。」

雅の弱々しそうな声を聞いた途端、俺は今までの不安が怒りとなって


「どうして電話出ないんだ?」

少し荒い口調で言ってしまっていた。


「・・・・・・・・。」

もちろんそんな俺の口調に雅からの返答は無く俺は思わず

「今から、迎えに行くから。」


勝手な事を言ってしまっていた。


でもどうしても今、雅に会いたいんだ。

俺の不安な気持ちを消し去りたいんだ。


でも雅はハッキリと

「もう、家には行きません。迎えに来られても困ります。」

と言ったんだ。


それを聞いた俺はショックだった。もう無かった事にしよう、と言われてるみたいで…


俺には雅が必要なのに雅は俺を必要とはしてくれないんだろうか。


「分かった。」

俺はこの言葉しか言えず、電話を切ってしまったんだ。