翌日、重い身体を無理やり起こし会社へとやって来る。


「おはようございま～す！」

私が適当に挨拶を交わし、デスクに着いた所で背後から


「おはよう。」

昨夜とは全くと言っていいほど声の質が違う彼が挨拶をしてきた。


「おはようございます。」

ニコッと微笑み挨拶をする私に対し彼は真面目な顔で


「大林さん来て早々悪いんだけど、これ１０部コピーよろしく。」


私の返答無しに、紙の束をスッと私の手に乗せ彼は足早に自分のデスクに戻ってしまった。



―日常の彼と私は上司と部下の関係。

同じ部署で働く仲間。


会社で私達は仕事以外の話は一切しない。


その為、この職場で私達の関係を知っている人はいない。

言える様な関係では無いのだが…


この関係を知っては欲しく無いが何処と無く寂しかった。少し特別な存在になれた様な気がしたから。

でも彼は私に対して何も変わらない態度だった。それよりか少し冷たくなった様に感じた。


その事が余計、私を辛くさせた。