大人の臆病【短編】

「…ねぇ。私、部屋までは行けないよ。」


運転席に座っている克己に視線を合わせこう言うと克己は黙ったまま車から降りて助手席に回って私を無理矢理降ろした。


「……克己。…嫌…だ。ｳｯ…ｸﾞｽｯ。」


克己は私の言葉も泣いてるのも無視し何も言わず手をガッシリと握り引っ張って、自分の部屋まで連れて行った。



玄関に先に入れられ克己を見るとドアを閉めた途端

「キャッ！！」

思いっ切り抱き付かれた。


「…どうして、ﾌｩ…こんな事するの？…ﾋｯｸ…もう、嫌だ…よ。」


「・・・・・・・・。」


相変わらず私の質問には返答無く、そっと私から離れ私の手を握り引っ張って部屋の中に入れた。


居間に入った途端、私は克己に抱きかかえられ寝室へ連れていかれ

そっと私をベッドに寝かせると彼は私に覆いかぶさってキスをしてきた。



また私はこうやって克己に抱かれるんだ。

逃げられないんだ…

どうして思いっきり抵抗出来ないんだろう。


私、克己の事好き過ぎるんだ。

自分でもどうしようも無い位、克己の事大好きなんだ。