大人の臆病【短編】

フッと横に居るこうちゃんを見たら優しく微笑んでいて

「みや、ちゃんといるじゃん!レストラン行ける奴。じゃなっ♪」

と言い残して立ち去って行った。


「……こうちゃん」

こうちゃん、違うよ…


―残念だけど克己は私を夜景の見えるレストランには連れて行ってくれないんだ…

大事な彼女が居るんだもん。私はただの浮気相手なんだよ。


なんて心で思いながら克己から離れこうちゃんの後ろ姿を見送った。

そんな私を克己は黙って見ててその視線を感じながらも

この場にいてもどうする事も出来ないので私は家まで足を進めようとしたが


「ちょ、ちょっと。何するの?もう止めてよ。」


克己は強引に私の手を取り車まで引っ張り助手席に私を乗せた。



はぁ~。この席に彼女も乗っているんだよね…

嫌だな。他の女の人が座ってる席なんて…


なんて考えながら、車内では会話も無く見覚えのある道を通って

克己のマンションまで着いてしまった。


このまま、部屋に行ってもまた克己に抱かれて終わるんだよね?


…もうこんなの嫌だよ。

こんな事もう止めようよ。

どうして私を抱くの?

もう限界だよ。