大人の臆病【短編】

そんな気持ちを抱えたまま家に着きご飯を適当に済ませ、ゆっくりお風呂に浸かってベッドの上でゴロゴロしていた。


ブーブーブー・・・・

…まただ。帰ってきてから何度も鳴る私の携帯。


「・・・あぁ~。またか…」

着信はすべて克己からのものだった。


「出ないからこんなに掛かってくるんだよね…」

携帯の待受けを見つめ1人呟く。


ピッ♪

「…はい。」

「どうして電話出ないんだ?」


避けられているのも分かっているかの様な苛々した口調だった。

「・・・・・・・・。」


この口調に圧倒されたのと、何て言っていいか分からないのとで黙っていた。

「今から、迎えに行くから。」


その言葉を聞いた時、もう心の中がグチャグチャして黙っていた私は

「もう、家には行きません。迎えに来られても困ります。」


少しの沈黙があり彼が少し弱い声で

「分かった。」

とだけ言い電話が切れた。


もうこれで終わりなんだ。関係無くなってしまうんだ。