すぐにクラスに溶け込めた私。

ニコニコ笑っていれば、相手が勝手に話を進める。

あぁ、ここでも友達出来ないんだ。

「莉亜ちゃーん、今日空いてるぅー?」

髪の毛をくるくる指で巻きながら、ちゃらちゃらした感じの女が私に絡んできた。

空いてても、絶対にあんたなんかとは遊ばないけどね。


「ごめんなさい。今日習い事があって...。」

謙虚に断ると、相手は不満そうに頬を膨らませた。

「えー、いいじゃーん。ノリ悪いよぉ。」

イラっ。

こういう奴、本当嫌い。


周りの子もザワザワこちらを見ている。
最悪だ。

「いいでしょぉ?ねっ、ねっ!...うわぁっ!?」

女の横を、一人の男が通り過ぎた。少し肩がぶつかり、女は大袈裟に転けた。

「ちょっとぉ、何なのよ!!謝りなさいよぉ!!」

その男は振り向くと、冷ややかな目で女を捕らえ、静かに口を開いた。

「...そこで、ぎゃーぎゃー騒ぐからぶつかったんだよ。」

男はそのまま教室を出て行った。




確か、黒崎 忍。




私を助けてくれた?





いや、考え過ぎだ。




私の分際で、何生意気言ってるのだろう。




でも、彼と私は似たもの同士だと思った。






彼も孤独だ、と直感した。