もし、この言葉を聞いていなければ




私の運命は変わっていたかもしれない。










私は、まだ朦朧とする意識の中、必死に車イスを押した。








それは、エレベーターを待っていた時だった。






















「ねぇ、聞いた?」

女の人の声がした。


「なになに?」





















「神崎さんの病気って、もう治らないみたい。」


動揺して、振り返ると私が通っていた学校の生徒が二人通り過ぎて行った。














頭が真っ白になった。











「神崎さん、お母さんから聞いたよー。」












通り過ぎる直前に聞こえた声。
























私は、エレベーターに乗り込み、一番上のボタンを押した。