ただでさえ、重たい体が更に重たくなった。

「・・・忍。」

忍は、私の手を握りながら目を閉じていた。


もう慣れたこの白い空間に、点滴が二つと、テレビドラマでよく見かける緑色のマスク。
喉の痛みと、倦怠感。
筋肉痛、疲労。

色々な変化が私を包んでいた。

「・・・ありがとう。」

忍の手をぎゅっと握り返して、机の上にあったペンを取った。


ねぇ、忍。
私ね、こんなにつらい思いしたの初めて。
こんなに必死になったのも初めて。
あぁ、これが人の味わう苦しみなんだって、人間に必ず立ちふさがる壁なんだって。
今まで、散々人を見下してきた。
私より低能で、バカで、アホみたいだなって思ってた。
でも違う、全然私なんかより凄かった。
皆、苦労している、頑張っている。

生きる為に頑張っている。

そのことを、教えてくれてありがとう。

私、頑張るよ。
絶対挫折しないよ。

それでいつか、母と面と向かって笑える日が来ることを、祈っています。
莉亜。




白い紙を、そっと引き出しにしまって布団をかぶった。
















私が死んだら、あの紙を見てほしい。














切実に願う――――。