俺は、見逃さなかった。



・・・莉亜が泣いている時、咳をしていたことを。







「うっ・・、げほっげほっ。うっう・・・。」

莉亜は苦しそうに泣いていた。



「莉亜・・・?大丈夫か?」

莉亜は背中を震わせながら、首を縦に振った。
ベットに倒れこみ、激しく咳こんだ。



「げほっ、ごほっ・・・。忍・・・、苦しい、咳が止まらない。
・・・・頭が痛い。」

莉亜は、俺の手を握り歪んだ顔で荒い息をしていた。


俺は、すぐにナースコールを押した。




























「肺炎ですね。」


診察室で、医者は俺に言った。


「大分、体が衰弱していました。
肺炎による呼吸困難でした、あと少しの所で危なかったです。」


あの咳も頭痛も全部肺炎が原因だと言う。
医者から薬を貰い、診察室を後にした。











俺は、虚しくなってきた。








どうして、俺はあの天使と言われた莉亜の羽をへし折ってしまったのか。




本当は俺がへし折られるはずなのに、








俺は今、莉亜の母親の気持ちが理解した気がした。