あれから、すぐに莉亜は病室に戻され、今は静かに眠っている。


俺は、赤松さんと二人で向かい合っている。



「最近、神崎さんの様子がおかしいんです。」

なんとなく感じていた。


「咳がひどかったり、顔色が悪かったり・・・、
ストレスか、睡眠不足かしらね・・・。」

赤松さんは、手のひらを頬に当て、何かを考えていた。



俺は、ただのストレスじゃない気がする。






「少し、休養を取ろうと思います。
早く治したい気持ちがいっぱいで、焦っちゃったのかな。

なので、忍君。神崎さんを支えてあげて。


あなたが一番の理解者だと思うから。」

赤松さんも理解しているんだ。












母親は、娘を理解していないことを。








「はい。・・・あの、莉亜の親って・・・。」

「あれから、来てないわね。
・・・・前、神崎さんが暴れてからショックなんじゃないかな?


・・・・あの人、神崎さんの事何にも分かってない。」

赤松さんは唇をかみしめていた。


俺も共感した。








俺の親も、莉亜の親も、
世界中にいる、子供の親も



きっと、子供の事を何も分かってはいない。







きっと、子供の同級生や、友達、
はたまた先生の方が、子供を理解している。








現実は、こんなもんだ。