〜あれから、数日後〜
私は、リハビリ室にいた。
「はぁっ...はぁ…。」
ゆっくりと、ゆっくりと、足を前に出す。
一歩…二歩…。
「あっ!?」
鈍い音をたてて、崩れ落ちた。
「大丈夫?…今日はもう、やめましょう。」
赤松さんが、私に手を差し伸べた。
でも私は、自力で立ち上がり、手すりを握りしめた。
「まだ・・・まだできます。」
しかし、手に力が入らず、床に叩きつけられた。
「早く治したい気持ちも分かるけど、無理は禁物よ。
今日は早く寝て、明日頑張りましょう。」
赤松さんは、私ににこっと笑いかけて
病室まで送って行ってくれた。
「また明日ね。お疲れさまでした。」
私はまた愛想笑いをして、ベットに飛び込んだ。
もう、リハビリを初めて一ヶ月がたった。
そろそろ歩けてもいいはずなのに・・・。
私の怪我は大きかったみたいで、まだまともに歩けない。
こんなんじゃ、いつまでたっても、元には戻れない。
これが、苦しみ?
これが、悲しみ?
これが、普通なの?
人間ってすごい。
私、人間じゃなかったのかな。
私も、普通の人間が良かった。