授業が終わり、校門を潜ると、すぐに病院へと向かった。

莉亜から連絡があったわけではないが、とにかく様子が知りたかった。




病室に入ると、看護師が昼食の乗ったトレーを机に置いていた。

「あら、神崎さんは今リハビリテーション中よ。もうすぐ終わると思うわ。ちょっと待っててね。」

看護師は、パイプ椅子を用意して、部屋を出て行った。

「水でも…変えようかな」

俺は、花瓶の水を変えに、部屋を出た。









戻ってくると、何やら病室が騒がしかった。












「離してっ!出てってよ!!目障り!!」






莉亜が母親の手を振り払い、ベットに潜り込んだ。



「莉亜ちゃん・・・あのね、」


「しばらく・・・・そっとしておきましょう。」


母親の言葉を、隣にいた女が止めた。
母親も莉亜を気にしながらも、病室を出て行った。




「初めまして。神崎さんのリハビリを担当します、赤松と言います。
さっきリハビリを行ったのですが、精神的に大きなダメージを負ったみたいで・・・。今はそっとしておいてあげてください。」


赤松と名乗る女性は、頭を下げて、病室を出て行った。






「忍・・・。」


いつの間にか莉亜は、顔をこちらに向けていた。
その目は涙でいっぱいだ。




「私、立てない・・・。歩けない・・・。

もう、感覚がないの。
リハビリしたって意味がない。

・・・もう、一生このままなのかな。」


莉亜は、死ぬ直前のような儚い顔をした。



俺は莉亜に近づき、そっと抱きしめた。






「お前を怪我させたのは俺だ。

絶対に元に戻してやる。

全力で、お前を支えてやる。


だから、頑張ってくれ。




治ったら、一緒に外に出かけよう。



お前の光を取り戻してみせる。」



莉亜は涙をぽろぽろ流し、
首を縦に振った。






莉亜、今度は俺がお前に、光を与えてやる。