「莉亜ちゃん、何かあったら何でも言ってね?」








母は、私の荷物を取りに、病室を後にした。


その少し後、病室のドアがトントンと音を立てた。




「はい?」


返事をすると、静かに扉が開いた。







そこには、あの男・・・・・黒崎忍がいた。


「...だい、じょうぶ、か?」

外国人か、ってツッコミたくなるようなカタコトな日本語。


「命に別状はないわ。ただ、脊髄損傷で下半身麻痺だって。」

私が憎たらしく笑うと、男は謝るどころか...ニヤッと笑った。

「俺を、訴えるなり、殺すなりなんでもしてくれて構わない。」

男は立ったまま、儚く笑った。

「・・・する訳ないじゃない。あれは、私が勝手にやったんだから。自業自得・・・。」

すると男が、私の頬を指でなぞった。


私、泣いていたみたい。


「俺の名は、黒崎忍。忍でいい。」



彼は優しく微笑んだ。




それに、胸がドキッとした。