「痛い!痛いよ、先輩!放して!!」
私は、無理矢理先輩の手を解こうとしたけれど、やっぱり先輩の力には敵わない。
先輩は私の方を振り返りもせず、私の手を掴みながら、ずんずん前へ進む。
もう、やだ…。
私はついに涙目になり、うつむいた。
その瞬間、掴まれた手の力が弱まった。
「ごめん、妬いた」
びっくりして、顔を上げた。
先輩は、やっぱり前を向いたままだった。
先輩、
今どんな顔してる?
妬いたって、雨宮先輩に?
先輩の言葉に顔を赤らめながら、そんなことばかり考えていた。
涙を浮かべていた顔が、嬉しさでほころんだ。