何となくその後ろ姿を目で追っていると、いきなりグイッと手を掴まれた。



「行くぞ」



大きな先輩の手にすっぽりと包まれる、私の小さな手。




なんだか、先輩が怖い。


様子がおかしい。




私の手を握る力は、どんどん強くなる。


周りから注がれる視線も、先輩は全く気にしない。




先輩、怒ってるの?


私、何かした?





いつも、先輩とすれ違うだけで嬉しくなる、この廊下。


先輩が通らないかなって、胸をドキドキさせながら待ってる、この廊下。



いつか、この廊下を手を繋いで渡りたかった。




でも、こんなの悲しいよ…。