「大丈夫か?暗幕、長いよな。気をつけろよ?」
そんな先輩の気遣いに、またときめく。
先輩は、心配そうに私をチラチラ見ながら歩いてくれる。
最近、先輩の何を見ても、何を言われても、先輩のいいとこだって思っちゃう。
「大丈夫だよ!そんなドジじゃないもん」
そう言いながら、二人で階段を上る。
そんな矢先の出来事。
「きゃ…っ!!」
腕に納まらなかった暗幕が垂れ、踏んづけてしまった。
私は、バランスを失い、後ろに倒れた。
「花音!!」
先輩が私の名前を呼ぶ声が聞こえ、手を差し伸べる姿が見えたけれど、その手を掴むことができなかった。

