先輩と別れ、ポーっとしたまま部屋に戻った。


そして、自分の唇に指をあてた。



キス…しちゃったんだよなぁ。



先輩の唇は、もうやわらかくて、とろけそうだった。


思い出すだけで、顔が赤くなる。



それから、先輩に『早く仲直りしな』と言われたことを思い出し、結愛に電話をかけた。


『先輩のことだっていうのは、分かってたよ。キツイこと言っちゃって、ごめんね。みんなにもちゃんと言っておいたから、心配しなくて大丈夫だよ。』


結愛の優しさに涙が出そうになった。



先輩とのキスのことは、心の中に秘めておくつもりだったけれど、結愛にだけは隠し事をしたくないと思った。


こんなに自分のことを理解してくれる友達は、なかなかいない。