「お前、ちゃんと話聞いてたかぁ?」 「え?へへ…。すいません」 まったく手が進まない私に、先輩はどうやら疑問を抱いてしまった様子。 そりゃそうか。 なのに私ときたら“お前”と呼ばれたことが、嬉しくて仕方ない。 「あ、そーだ!敬語!」 「へ?」 先輩がいきなりつじつまの合わない話をしだしたから、びっくりして間の抜けた返事をしてしまった。