「翼先輩さぁ、花音に気ーあるんじゃん?私の名前知らなかったくせに、花音の名前はしっかり覚えててさぁ…」


放心状態の私に、結愛が言葉を投げかける。


翼先輩に名前を覚えてもらえてなかったことを、かなり根にもっているらしい。


「ないないない!あったらいいなぁとは思うけど…」


「楽しくなってきたぁ~!先輩の呼ぶ“花音ちゃん”が“花音”に変わったら、もう狙い時だね!」


「ないないない!呼び捨てなんかされたら、私キュンどころじゃすまないし…。告白するつもりもないし…」


さっきから同じ言葉を連呼する私に、結愛が笑う。


「まぁ、だんだんとね!頑張れ、花音!」


「う、うん!」



私は、結愛の言葉に頷いた。