翼先輩は、体育館裏にいた。 梓先輩と一緒に。 2人が何を話しているのかは、全く聞こえなかった。 聞こえるのは、静かに鳴く虫の声だけ。 笑い合う2人の姿を見て不安になったけれど、拓海先輩の言っていたことを信じた。 月が輝く今宵の夜。 星が味方。 もし、この恋の結末が悲しいものだったとしても構わない。 私には、伝えたい気持ちがある。 私は、ゆっくりと翼先輩に近づいた。