「花音に俺の気持ち伝えてくれーって。何か嫌われちゃったみたいで、俺の話聞いてくれないからって。どうしても今日、伝えたかったみたい。」



もう、あふれる涙を止めることは出来なかった。



後夜祭を終えた体育館は、片付けのため教室に戻る人や、帰宅する人でごった返していた。


その人たちの波に乗り、拓海先輩も立ち上がった。



「拓海先輩!!」



私はそれを、大声で引きとめた。



「本当に…ありがとうございました!」



立ち上がって深く頭を下げると、拓海先輩は、笑顔で手を振り返してくれた。




拓海先輩を、優しさに溢れている人だと思った。


でも、心に抱えているものは、大きいのかもしれない。


それは、他人の私には分からない。




私は感謝の気持ちと、これからのことに胸を膨らませ、走り出した。