「元気なかった原因は、それ?梓と翼は、とっくに終わってるよ。」
「でも…。今日梓先輩が、翼先輩にやり直そうって言われたから、今日気持ち伝えるって……。」
私がそう言うと、拓海先輩は地面に大きなため息をひとつついた。
「あいつも何でそういうこと言うかなぁ。まだ相当未練あんのは知ってるけど。それ嘘だから!気持ち伝えるって言うのは分かんないけど。」
「へ!?」
耳を疑った。
……嘘?
私は、あんな風に、あんなに堂々と嘘が言えるだろうか。
いや、絶対に言えない。
「俺、翼から毎日のように相談受けててさ。もちろん、花音ちゃんのことで。同時に、梓からも相談受けてたんだよね。」
「…あの、翼先輩と梓先輩とは、どういう関係なんですか?」
「俺?翼とは、ガキの頃からの仲だよ。家が隣でさ。梓とは、どういう関係ってほどでもないけど、俺も元軽音でグルゼのメンバーだったからさ、仲良かった。」
そう言って、拓海先輩は笑顔を向けた。
後ろにいるグルゼと、ひとつになって見えた。
どうしてグルゼを抜けたんですかって聞こうとしたけど、やめといた。

