恋を奏でる軽音部



そこからグルゼと共に、盛り上がる会場を見た。



最後のステージになるであろうこのライブを、みんなが全身で楽しんでいる。



盛り上がるみんなは、一本のロープだけでは抑えきれない。


実行委員の人たちがロープの上に体重をかけ、みんなを止める。



私たちも、どんなに下手でも、あと2年後には、こうしてみんなを盛り上げる立場になる。


頑張らなきゃな…。



私は、眩しいくらいに輝くステージを静かに見つめた。


そして、その中で一層輝く翼先輩を、自然と目が追ってしまう。



あのキスが嘘だったとは、思いたくない。

あの笑顔が嘘だったとは、思いたくない。



もし嘘だったとしても、私はあなたを嫌いになんかならないよ。


ううん、嫌いになんか、なれない。



だって、こんなに好きになってしまったんだもの…。