昼休み。


さっきまでお客さんでにぎわっていた音楽室は、ガランとしていた。



翼先輩と話していたら、グルゼのギターの先輩が、翼先輩に声をかけてきた。



「おーい、翼!ヒマだから何かやろうぜ!」


「あー、どうしよっかな。」



翼先輩は、チラリと私を見た。



「いいよ!私のことは気にしないで行って来て!私も聞きたいし!」


「そっか!じゃあ、行って来るわ。そこのベース取って!」



ステージの上で、メンバーに加わる先輩を、目で追った。


今日は先輩のこと、目で追ってばっかだな。




だって、こんなに遠いんだもん。


目で追ってなきゃ、すぐに消えちゃうよ。