「あ〜っ、コレなかなかいい運動になるわ」
「はい?」
目の前の背中を見つめ、あたしは思いついたようにわき腹をくすぐった。
「ちょっ、お前、危ないだろ」
「あははっ」
「やめろって」
「あははっ、あたしの勝ちー♪」
なんだかすごく気持ち良い。
朝の爽やかな空気。あったかい風。
久しぶりの…二人乗り。
「つーか二人乗りとかすんの久しぶりじゃね?」
「えっ?あーっ…うん」
「昔はもっと軽かったのになぁ」
「はい?あ!もうここから歩いていきたいんだ?」
あたしがそう言うと、涼はビシッと背筋を伸ばして。
「いや!何でもないです!」
慌てたように大きな声で言った。



