初めて踏み入れた校舎に、なんだか胸がドキドキした。


キョロキョロ周りを見渡し、緊張しながら持っていた紙を見つめる。



「えーっ!」

「ウソ⁉︎一緒だーっ!」

「やったーっ!」



うるさいくらいに飛び交うたくさんの声。

あたしと同じようにクラス表を手にした生徒達が教室前の廊下にぞろぞろと群がっている。



「みのり、何組だった?」

「あたしBだった。ユリは?」

「私はD。涼とハルも一緒みたい」


そしてあたし、‘‘立花みのり”も。



「えーっ⁉︎本当に⁉︎ユリ達三人一緒なの⁉︎」


ビックリし過ぎて、ついつい周りに負けないくらいの大きな声を出してしまっていた。



「いいなぁユリ。あたしのクラス、旭中出身の子は一人いるけど…全く話したこともない子だったんだよね」


自然とこぼれたため息。

だけどうつむいていた私に、すかさずユリが口を開いた。


「そっか…。あ!でもさ、休み時間とかは一緒にいれるし!大丈夫!私がみのりのクラスに行くしさ!」

「うーん…そうだよね…大丈夫だよね」



なーんて…何とか笑顔を作りながら言ってみたものの、本音は不安でいっぱいだった。